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2014年10月8日

いつごろの「主計町」??

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今年 5月から3か月余、「尾張町界隈、懐かしの写真展」というのを 一部、当館所蔵の写真パネル15枚をひっぱり出してきて用い、展示した。 「所蔵」といってもキチンと保管されていたわけでなく、屋根裏部屋然 とした物置スペースに、雨漏りのあとが染みついたような状態の写真パネル だった。ほこりをふき取り、パネルの黒ずんでいるところは白い紙を貼り、 体裁を整えたのはいいが、それぞれの画像に、年代と場所を特定しなければいけない。 場所はだいたい分かるが、問題は年代である。電車通りについては、軌道敷設の 前後でおおよそ見当がつく。街を走っている車の型式も参考となった。 いろんな人に教えを乞うて、15枚中14枚まではほぼ時代が特定できた。 最後に残ったのは、主計町の昼下がりの画である。桜の木の幹の太さからして だいぶ前のものだろうとの見当はつくが、年代は容易に言い当てられない。 しばらく放っておいた。

 

そんな折、4月上旬、神戸からSさんご夫妻がご来館され、ご主人 むかしは 金沢に住んでいた、とおっしゃられたのでお二人の帰り際に、何気なく 「金沢のどこに住んでらしたのですか」と尋ねた。「主計町です」と お聞きしたので、だめもとで くだんの写真を倉庫の2階からひっぱり出して来た。 「もしかしてお分かりになりませんか…」。

 

ご主人のSさん、その画を見て呆然と立ちすくみ、「これ 私の生まれ育った家です。 …今はもうありませんけど…」と懐かしがられた。家の前の自転車も、軒先の 鳥かごの中のジュウシマツもみなSさんのものだったという。 (写真右手前の家)。

何という奇遇!!!。

 

かくしてめでたくこの写真の時代は昭和39年とあいなり、この展示企画の 一翼を占め、しばらくはその画のすがすがしい風情は、来館者の人たちにとり 一服の清涼剤たりえたのでした。

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