2014年10月23日
念ずれば現る?
NHK金沢の前身。(当館所蔵の写真パネルより)
はなしはだいぶん前後する。 私は野球全般が好きで、プロもアマも等しく好きである。 高校野球は勿論のことである。 9月の25日、秋の北信越高校野球石川県大会も煮詰まってきて ベスト4が出そろってきたころ、約1年前のNHK金沢の神戸(かんべ)アナウンサーの ご来館を憶いだした。高校野球つながりで神戸さんとたいへん話が弾んだのである。 夕方5時近くになったのでそろそろ閉館にとりかかろうとしていたころ、 ふらっとNHK金沢の神戸アナウンサーが自転車を止めて入って来られた。 私は神戸さんをテレビ、ラジオ(主に高校野球中継)で知っていたので 開館時間をズーッと延ばしていろいろお話させて頂いた。 神戸さんが高校時代 野球をやっていたお話もそのときお聞きした(どうりで野球中継もうまいはず)。 石川県と(神戸さんの出身県)愛知県の高校野球事情、野球風土の違いなどもお聞きし、とても楽しかったのを 憶えている。
ところが最近、神戸さんをテレビで見かけなくなった。 どうしたんだろうと思って(この場合、どうしたんだろうと心の中で強く念じた、といったほうが 正しい)いたら、当館の前をNHK金沢の石黒綾佳アナウンサーが通りかかった。 (石黒さんのことは、NHKのいろんな番組で知っていた。さわやかな語りで、目がぱっちりの、とてもチャーミングな方) 神戸さんを思い遣っていたそのときに石黒さんが通りかかったものだから、おもわず 「イシグロさん」と呼びかけてしまった。石黒さんはお忙しいにもかかわらず当館に 入って下さった。 少しばかりお話しさせて頂き、神戸さんがこの夏、高知へ転勤になったと知った。 (とにかくその時の石黒さん、チャーミングさいっぱい、オーラいっぱいで圧倒されました。 石黒さんは「イシグロ」でなく「イシクロ」とお読みすると知りました。)
これは、念じたからこそNHKの方が私の前に突然現れたのだ、と解釈した。
「念じたから現れた」例として、昨年6月末の梅雨のころ、当館に来られていた地元のお客さんと 「そういえば今日は阪神、中日戦だね」でもこんな雨だから「中止でしょうね」と話してたら 当館の、武蔵よりから歩いてきたジャージ姿5~6人の男連れの最後尾に、目のくりっとした人がいた。 私は、とっさに「監督!、頑張って下さいよ」と声をかけた。「おぅ!!」と答えてその人は 集団とともに立ち去って行った。先日、CSステージを駆け抜け日本シリーズに駒を進めた 和田監督その人だった。これは……でも「念ずれば現る」というほどでもなく「噂をすれば影」的なものかもしれない。
「念じたから現れた」例として、
私の学生時代の話。昭和40年代の末頃、通っていた大学の図書館で調べ物をしていて 少し疲れたので、(その頃からみて数年前に)はやっていたグループサウンズ(Tガース)の、お気に入りの歌を 鼻歌気味に(瞑想の中で)歌った。Tガースのひとり一人のメンバーを頭の中に登場させて。 まさにそのときだった。薄暗い図書館の中で、私のななめ前にTガースのドラムス担当のHが霞んだようにほの白く像を結んでいた。 白皙の美青年といったふうで、その人は真剣に書物に没頭していた。他を寄せ付けない、なにか凛とした空気をまとっているようだった。 その人がTガースのHさん(そのころTガースは解散していた)だという確たる証拠はどこにも なかったが、私は本人だと信じた。なにか蜃気楼でも見たような非常に不思議な感覚にとらわれたのを憶えている。 (その当時その人が私と同じ大学に進学していたことは、だいぶ後になって知った。) これも「念ずれば現る」の好例であろう。
さて、先日夕方近く、私は、当館用の芳名帳の残りページが少なくなったのに気づき、10分くらいで戻って来る予定で、 開館中ではあるが、新しいものを近江町の荒木紙文房具店に買い求めようとして、「しばらく留守にします」の貼り紙をし臨時閉館とし、 心の中では「誰にも会いませんように…」と念じながら近江町のほうへ歩き出した。とたんに 道路の向こう側に、外ではめったに会わない尾張町のMさんとばったり目が合ってあわてて会釈した。 これなども、「念ずれば現る」の現象であろう、うんと広い意味で。