2015年4月3日
音楽の女神達の降臨した日
町民文化館のホールにデンと鎮座している昭和中期頃のピアノ
2015年3月27日(金)晴れ。
当老舗交流館は尾張町商店街振興組合がその運営を金沢市から委託されている。 お隣の町民文化館も同様である(但し、こちらのほうは委託元は石川県)。
お互いにお客様を誘導し合っている。 そんなことで町民文化館の係りの方とは行き来している。
そしてこの日、この日の町民文化館の係りのFさんが慌てて私のところへやって来た。 「たった今、民謡の大変うまい子が来て 歌って行ったよ。宮崎から来た大学生の女の子」 宮崎から来た女子大生二人連れの一人が大変民謡がうまく、その子は中学生のとき全日本で優勝した子で 今しがた町民文化館で歌って行った、とのこと。
私は「何でFさん、言ってくれなかったんですか。言ってくれたら聞きに行ったのに」と残念がった。 「あの子たちはこれからお昼を済ませて、その後成巽閣へ行く。だからあの子たちに成巽閣の無料招待券でもあげれば また歌ってくれるかもしれないよ。あんた成巽閣の無料招待券持ってるだろ」Fさんがそう言うので、私は手持ちの成巽閣の無料招待券をFさんに託した。 女子大生二人は近江町にお寿司を食べに行ったようなので、無料招待券を彼女たちに渡すべくFさんはあてずっぽうに近江町に向かった。
そしてFさん、奇跡的ににも女子大生二人と出くわし、無料招待券を渡せたのであった。 それから約30分後、再びFさん慌ててやって来て、「今、あの子たち戻ってきたよ。また歌ってくれるって」。 私は急いで町民文化館に飛び込んだ。 そこに二人の女子大生がいて、そのうちの一人の子が歌ってくれた。(この人はKさん。Kさんは今 大阪の大学に通ってるとのこと)。 「緊張します。でもこうやって真剣に聴いて下さるのは嬉しいです」といってホールにあるピアノの前で歌ってくれた。 聴衆は、私とFさんと、ご来館中のお客さん一人と、この歌姫のお友達の計4人であった。 唄は宮崎の「正調刈干切唄」。 彼女は堂々と歌い上げた。力強い、そして豊かな声量、柔らかく、美しく、艶やかな声、若さを横溢させる歌声、乙女の初々しさを帯びた歌声、 生命のほとばしりを感じさせる伸びやかな歌声、それらの諸要素が渾然一体となって、哀調を帯びたメロディーに乗って私の心にずしんと届いてきた。
何とも言えない、至福に満ちたひとときであった。 お友達とその歌姫は、丁寧に礼をいって町民文化館をあとにした。
この3月27日は金曜日であった。天気は良し。通りは今までの平日では考えられないほどの賑わいであった。 新幹線が金沢に着いてから2週間目。金沢は確実に変わっていた。
そんな通りの様子を眺めながら、こんなに人が多いのだから、ひょっとしたらBS-TBSの「日本名曲アルバム」に出ている人たちでも 尋ねてこないかなぁ、などど愚にもつかぬことを想像した。全く根も葉もないことを、さっきの音楽つながりから考えたのである。 ( BS-TBSの「日本名曲アルバム」とは、毎週火曜日の午後7時から1時間の音楽番組。各時代それぞれの、良い曲(ジャンルは問わない)を 音楽大学、一般の大学、高校、あるいは民間のコーラスグループが、美しいハーモニーで演奏する番組である。 私は、音楽一般が好きだが、殊にコーラスが好きで、それも難解なものよりも、ポピュラーな楽曲を披露するこの番組が大好きである。 このブログを覗かれた方、一度はこの番組 見てください。珠玉の美声集ですよ )
お気に入りのコーラスグループは数々あり、中でも国立音大のOB、OGで構成する「CHOR STELLA(コールステッラ)」と フェリス女学院大学の現役生・OGで構成する「フェリス・フラウエンコーア」が私の好きなグループのTop Twoである。 ( どちらも大変な実力の持ち主たちであり、特にCHOR STELLA(コールステッラ)にはソリストとして活躍している人も多い。 そしてどちらも女性陣は美人揃い。フェリス・フラウエンコーアは女声のみ )。
この人通り、雑踏とでもいえるほどの人の多さ、こんなに多ければ「日本名曲アルバム」出演者とまで言わなくとも、彼らの知り合いの一人でも 尋ねてきてくれそうな気配である。そういう雰囲気であるが、そのような関係の人が通ったとして町民文化館あるいはここへ来るとは限らない。 全く、期待可能性のない空想、否、夢想であった。
と、そのとき隣のFさんが音楽好きな私の趣向を見越して、「今 東京の音大 出た女性が二人来ているよ」と声を掛けに来てくれた。 その時 私は「キタ~っ」と思った。でも一瞬後、それだけでその人たちが「日本名曲アルバム」につながりがあるとは限らない、 否、殆ど無関係であろう、私は自分の甘い期待を戒めた。 町民文化館でその二人の方に話しして、当館に誘導した。「どちらからいらっしゃいましたか」「東京です」 それは分かっている、私はドキドキしながら先を急いだ。「さっき、町民文化館のかたに聞いたらお二人とも音大ご出身ときいたのですが… どちらの音大を出られたのですか」緊張で喉の渇きを覚えながら私は訊いた。 「国立音大です」と二人のうちの一人が応えた。その時点で私は歓喜のあまり少しめまいを覚えた。次に専攻を尋ねた。ピアノ科とのことであった。 「声楽科」を期待してた私は、内心、天はそこまで配剤してくれないよな、と思った。(お二人はKさんとSさん)。 でも気を取り直して、訊いてみた。「 国立音大のOB、OGでやっている「CHOR STELLA(コールステッラ)というグループが出てる BS-TBSの「日本名曲アルバム」という番組があるんですけどご存知ですか」。
「よくご存知ですね。私は勿論知っていますよ!!!」とお二人のうちのKさんが答えてくれた。 そして「CHOR STELLAの何人かも知っていますよ」とも答えてくれた。 喜び勇んで私は畳み掛けるように、私のひいきの、何人かのメンバーの名前をあげてみた。 「そうですね、藤原 唯( Fujiwara Yui )さんとか 吉田 望弥( Yoshida Nozomi )さんは同期だからよく知ってますよ。 で 私、藤原 唯さんの歌(ソロだと思われる)の伴奏もしたことありますよ 」 どちらも私の大好きなシンガー達である。そして 私の目の前の、このKさんはその藤原さんと協演してたのだ…こんな人に会えるなんて なんという僥倖…!!!。 Kさんを通してCHOR STELLAの片りんに触れられたような気がして無上の至福を感じ、またこのKさん、Sさんお二人が 光り輝いて見えた。
( この藤原 唯さんの歌声をYouTubeで見れ(聴け)ます。「 chor stella 庭の千草 YouTube 」で検索してください。 藤原さんが、バックに chor stella のメンバー(向かって左から、箕浦さん、山田さん、宮地さん)を従えて、「庭の千草」を歌唱するのが 聴けます。素晴らしい歌声に魅了されること請け合いですよ )
何ということであろう!! 先ほど尾張町大通りの雑踏を眺めながら夢想していたことが現実となったのだ。
昨年の10月24日付けのブログで書いた「念ずれば現る」みたいな感じに。
宮崎のKさん、東京のKさん Sさん、音楽の女神の相次いでの降臨となった記念すべき2015年3月27日。