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2024年1月20日

齋藤先生、小堀遠州・加賀藩の関係を鮮やかに解説

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中村記念美術館 学芸員 齋藤直子先生の
当講演会久々の(令和6年1月20日実施)ご登壇です。
 
2015年10月17日以来の、実に8年と3カ月ぶりの
齋藤先生の講演です。
 
前回は、「金箔の歴史」と題した講演でした。
齋藤先生は、安江金箔工芸館の学芸員をなさっていた
ことがあり、この分野にも大変通暁されており、「金箔の歴史」の
講演をして頂いたのです。
 
ことときの講演の冒頭、齋藤先生は、「皆さん、金箔は何と発音しますか、
「キンパク」( 最初の「キ」の音の音程が一番高く、次の「ン」「パ」「ク」に
行くにしたがって音程が下がって行く。 )ですか、それとも
「キンパク」( 最初の「キ」の音程が一番低く、次の「ンパク」
は少し音程を上げて平坦に発音する。 )ですか、と尋ねられました。
 
前者は、ここ石川、金沢、でのアクセントであり、後者は標準語系の
アクセントだと思います。このとき齋藤先生は、金箔は金沢が日本を
代表するので、(最初の金沢風の)「キンパク」で行きましょう、とおっしゃったのです。
ここで聴衆の(少なくとも筆者(交流館係員))の心を鷲づかみにされました。
 
齋藤先生の、そのときのイントロダクションを筆者は鮮明に覚えています。
 
さて、今回(令和6年1月20日)の齋藤先生の講演テーマは
「茶を通した小堀遠州と金沢のつながり」です。
 
当講演会での「茶道」にかかわる講演は、2016年9月18日の、
大島宗翠先生(石川県茶道協会代表幹事)の講演にその例を見ます。
( この時のテーマは「金沢の茶道を知ろう ~ 裏千家茶道のお話 ~」でした。)
 
小堀遠州は幕府の作事奉行をつとめた江戸時代初期の大名です
 
大名、茶人、建築家、作庭家、書家であった小堀遠州と金沢のつながりとは
何なのだろう、齋藤先生はこのテーマについて何を語ってくださるのだろう、
との興味津々の気持ちで講演を拝聴しました。
 
齋藤先生の本日の講演は、小堀遠州、仙叟宗室の、前田家、及び
加賀藩にもたらした茶道文化、茶道具文化についての詳説でした。
 
小堀遠州と前田家の関係を解き明かし、「前田家伝来品」及び
「前田家の三名物」の多くは小堀遠州の仲介になること、そして
それらの道具類、作品類をスライドで詳しく説明されました。
 
これらを通しても、小堀遠州の美意識の程が伝わります。
彼の、加賀藩茶道文化への貢献度合いの大きさがよ~く理解できました。
 
先生はそのあと、話を かの仙叟宗室に移されました。
仙叟宗室の仕官には、遠州の弟の小堀左馬介正春 等の口添えが
あったそうです。
これにより仙叟宗室は前田利常に仕官できたそうです。
ここにも小堀遠州の影響があったのですね。
 
そして、仙叟宗室は加賀藩の茶道に大きな影響を
与えたのですが、さらに彼の働きで、加賀藩に「大樋焼」、
「寒雉釜」が誕生し、華開きました。
 
齋藤先生の本日の講演は、茶道具一点一点についての
濃密な解説、「藤原定家」の書の、茶道具への反映の様、の
詳説など、内容盛り沢山で、とても筆者の報告では全容を伝えかねます。
 
講演終了時の、聴衆の皆さんの万雷の拍手が、本日の齋藤先生の
講演の素晴らしさを物語っていました。
 
最後に齋藤先生は、中村記念美術館の今後の企画の一端を
紹介されました。聞いていてどれもこれも魅力あるものばかり、
早速、足を運びたくなるものばかりです。
 
こんな素晴らしい企画・展示のある「中村記念美術館」と、
それに輪をかけて素晴らしい「齋藤先生」がいらっしゃる「中村記念美術館」の
近くに住まう我々は何と恵まれているのか、と痛感しました。
 
早速行きましょう、「中村記念美術館」へ。
心寛げる「美」に触れて、皆 心豊かになりましょう !
 
そして そこで齋藤先生の解説を聴ければ、さらに心豊かになれる !
そういった思いが心に満ち満ちた講演会でありました。
 
齋藤先生、次年度もまたよろしくお願いします。

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