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2023年6月17日

中嶋先生の、西田哲学へのいざない、としての第二弾

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本日(令和5年6月17日)の講演会の講師は、石川県立看護大学 講師の
中嶋 優太先生です。(先生は、西田幾多郎記念哲学館 元専門員)
中嶋先生には昨年の11月26日に「西田幾多郎」についての、第一回目の講演を
行って頂きましたことは記憶に新しいところです。
そのときののテーマは、「西田幾多郎『善の研究』を読む ~善く生きる~」でした。
 
前回は、先生の誘導により、参加者全員のパネルディスカッションのような
様相を呈するような講演となったのでした。
「先生の講義が皆の心に沁みたせいか、参加者のめいめいが「にわか哲学者」にまで
到達・昇格してしまった講演会となりました。」と前回の筆者の報告では
記してあります。
皆の、次回を望む期待の大きさが、今回の先生の再びのご登壇となった次第です。
 
今回のテーマは「西田幾多郎『善の研究』を読む ~自由に生きる~」です。
 
昔のエリートの最たる旧制高等学校生、現代の知識人、たちをして難解と
言わしめる西田哲学。
 
それを、殆ど素人たち一般の市民(参加者)に解きほぐして説明しようとする
中嶋先生。
並大抵のご苦労ではありません。
孤軍奮闘、の一時間半でありました。
 
「善の研究」を読むための知識の準備として、
「~自由に生きる~」ということの意味を
理解しなければなりません。
西田幾多郎の云う「自由」とは何か、ということの
解明が本日のテーマの主軸でした。
 
先生は、自由をとらえての説明として、従来からの2つの考え方と、
西田の考える自由、の3つの説を紹介されました。
 
前者は、相対立する考え方で、「自由意志は無い」とする「決定論」
(我々の意志も自然の因果法則により必然的に決定されている、とする)と、
他方は、「原因も理由もない自由意志、を是認」する
従来からの「自由意志論」であります。
 
これに対しての西田の自由意志論は「必然的自由」を中核とする
論であり、批判の矛先を従来からの「自由意志論」に向けるものです。
 
西田の「自由意志論」の立場からすれば、従来の「自由意志論」では
原因も理由もない偶然の意志であり、自由どころか
「強迫」と感ぜられる、と断じています。
 
動機の原因が自己の内面から出た場合の自由が必然的自由という
ものであり、このことが西田の唱える「自由」だとするのです。
よってこのような「自由」に基づく行為には当然に責任が伴うのである、
という具合に先生は、西田の「自由意志論」を解き明かされました。
(以上は、哲学に明るくない筆者の感想でありますので
間違いがありましたらご指摘ください。)
 
大変難しい局面に入って来た今回の中嶋先生の講演でした。
多様な価値観が錯綜し、混迷する世相下の現代ゆえ、
このような状況下をより良く生き抜くために、今、哲学、
ことに西田哲学が必要なのだと思いました。
 
本日の中嶋先生の講演で、参加者各人の思考が何らかの形で
触発されたのではないでしょうか。
西田哲学に分け入り、西田哲学の学習を通じて
西田哲学の今日的意義を見い出せる境地にまで己を
高めたい、と思った方もおられたのではないでしょうか。
多くのことを触発及び啓示して頂いた本日の中嶋先生の講演でした。
 
難解な西田哲学を、解きほぐされようと奮闘された中嶋先生に感服 !!!。
 
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