2025年1月19日
齋藤先生、金沢の美術工芸品蒐集家の功績を語る
中村記念美術館 学芸員 齋藤直子先生の前回講演会(令和6年1月20日)
から早や1年が経ちました。齋藤先生の講演はこれで3回目となります。
前回(令和6年1月20日)のテーマは「茶を通した小堀遠州と金沢のつながり」でした。
まだ記憶に新しいところです。
今回(令和7年1月18日)は「金沢の近代数寄者の茶道具蒐集」と題しての
講演です。
前回同様1月の寒中での開催故、寒さで身体がこわばりがちですが、他方で、
心中が凛として、先生の講演を拝聴するには良い状態なのかもしれません。
ましてや本日は気持ちの良い晴天に恵まれ、凛とした天高さの日和でした。
ということで、令和6年度第9回の齋藤先生の講演です。
テーマにもありますように、茶道具蒐集に熱心であった金沢の数寄者3名を中心としての
名品蒐集の様子、エピソード、及び、ここから後の美術館設立への契機、
系譜を語って頂きました。
先生が特に取り上げられた3名は、金沢の実業家で、名品の茶道具蒐集の数寄者でありました。
この3名とは、中村栄俊、林屋亀次郎、山川庄太郎です。
いずれの方も、名にし負う金沢の実業家です。
事業以外に、旺盛な風流心から数寄者として茶道具をはじめとしての美術工芸品の
名品の数々を蒐集されました。
これらが、金沢市立中村記念美術館、石川県立美術館へと繋がりなした。
中村栄俊氏自らが、その蒐集した美術工芸品を展示公開すべく「中村記念館」を開館し
「金沢市立中村記念美術館」へと繋がり、山川庄太郎氏のコレクションは「山川美術財団」を経て
「石川県立美術館」へと、その蒐集品は受け継がれました。
かような先人たちの尽力により、美術王国 金沢の名が更に高まったわけです。
先生は中村栄俊氏の足跡を重点的にに語られました。
中村栄俊氏の名品入手の経緯のみならず、それらの作品の出自をも説明され、名品入手時の
エピソードをも語られました。そういう背景を教えて頂けると作品に対する興味度が
グンとあがりますね。
勿論、数々の名品の、スライドによる芸術的観点からの説明もあり楽しい講演会
となりました。
また、林屋氏の実業家としての偉業以外の、数寄者たる風流人としての側面、
山川氏の、石川県立美術館への所蔵品の寄付にいたった経緯を詳説されました。
これら三氏以外に、西川外吉氏の数寄者たる蒐集功績をも紹介されました。
また、蒐集活動を巡っての数寄者たちの、人的交流にまつわるエピソードを
語って頂き、茶道具をはじめとする美術工芸品がより一層身近になった
ことでした。
中村栄俊氏の蒐集にかかる名品の宝庫である金沢市立中村記念美術館への
想いが一層増した参加者の方々も多かったのではないか、と思いました。
齋藤先生、本日は美術工芸品の有する魅惑的価値で我々の心をうんと満たして
頂きまして有難うございました。
また、本日の晴天のような清々しさで満ちた齋藤先生の講演でもありました。
次回の齋藤先生の講演が、今からもう待ち遠しくなりました。
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