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2024年6月15日

竹松 先生、加賀藩上級武士家の「部屋住」の様子を詳説

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5月31日のこと。
百万石祭りの初日です。
メインイベントの「百万石行列」の行われる前日であります。
 
夕刻近く、ご夫婦と思しきお二人が、老舗交流館に入ってこらました。
型どおり「どちらから来られましたか」とお聞きをし、「東京からです」との返答を
頂きました。
「百万石まつりをご覧になりに来られたのですか」とお聞きすると
「そうです。娘がパレードに参加しますので」と答えられました。
百万石祭りのパレードにはいろんな役割があるから、何の役だろと
思っていてお聞きすると「お松の方、の役です」と答えられました。
 
「・・・・・・・・」 ほんの一刹那頭をフル回転させ、
「ええっ、『夏菜』さんのご両親ですか!!!」、と私は声高に叫んでしまっていました。
あの時一緒に写真でも撮っていれば、と後で悔やまれてしかたありませんでした。
 
祭りの数日後、「お松の方」役の”夏菜”さんを絶賛する声を多く聞きました。
 
( そういえば、お母様は、やはり”夏菜”さんのお母様である、と明らかに思わせる
お美しさでしたね・・・今から思えば。 )
 
藩祖 前田利家と同じくらい市民、県民にリスペクトされている「お松の方」。
利家との間の男子は、利長と利政の二人。利長には男子無く、利政の
系統が今につながっており、それが前田土佐守家なのです。
 
この前田土佐守家資料館は、この、お松の方の次男の前田利政を家祖とする
前田土佐守家所蔵の資料を保管、及び展示する施設です。
 
本日(令和6年6月15日)の講師は、この前田土佐守家資料館の
副館長として大変ご活躍の、竹松幸香先生なのです。
 
テーマは「加賀藩上級武士家の『部屋住』」。
 
初めに、竹松先生は、前田土佐守家の歴史、系譜をさらっと説明され
本日の本題に入られました。
 
筆者(交流館係員)は、勉強不足で「部屋住」という言葉に接したのは
初めてでした。
(講演会参加の方々の多くは、きっと先刻ご承知のことだったでしょう。)
 
家督を相続していない嫡男や、次男以下で家督相続できない者で、
分家・独立せずに親や兄弟の扶養を受けている者、を「部屋住」という
と説明されました。
 
江戸時代の上級武士家には、現代と違い多くの子供がいましたので
当主になれない武士はかなりいたようです。
 
今でいえば、大人になってもそのまま家にいるわけですから「パラサイト」
とでも言えそうです。
何か、不遇な運命のもとに生まれた感、に満ちています。
 
ことに、加賀八家のように上級武士家での「部屋住」身分の者は
プライドが高く、どこへでも出仕するわけにいかず、部屋住のまま
暮らす、ということが多くなっていたようです。
 
「部屋住」身分の武士、ことに加賀藩上級武士家の「部屋住」の
武士には、不遇な、悲哀を帯びたイメージが付きまといます。
ネガティブなイメージですね。
 
前田土佐守家6代当主 前田直方は、実弟の直起、直昌についての不憫さを
「意見書」をものして藩に訴えたことがあったそうです。
 
但し、上記 直起、直昌はただの閑人に終始したわけではなく、文筆に、
また和歌に長けた教養人の側面もあったことを竹松先生は強調されました。
 
また、先生は例を奥村家に取り、奥村栄通(奥村宗家13代当主)の部屋住時代の
日記を紹介されました。
 
これによると、不遇、悲哀のイメージを払拭する生活(行楽、狩猟など)も
伺えます。全くの「埋もれ木」の生活ばかりではなかったんですね。
 
竹松先生紹介の、上記の古文書、古記録により加賀藩上級武士家の「部屋住」の
様子の一端が伺えます。
 
「当主」の活躍の様ばかりに光が当たるのが一般的な歴史の物語ですが
生まれる順番で、当主たりえなかった次三男達についての暮らしぶりはには
光が当たることな少ないようです。
 
「部屋住」武士の状況、さほどの不遇ばかりではなかったのだ、といった暮らしぶり
の一端を、竹松先生は適切に選別された古文書、古記録紹介により、我々に
説示して頂きました。
 
竹松先生、本日は加賀八家たる上級武士家家族についての興味あるお話
有難うございました。
万雷の拍手にて終演となりました。
 
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