2018年7月22日
歴史と伝統文化講演会 ー 加賀百万石の漆芸の歴史
今年度で第5回目の実施となる尾張町商店街「歴史と伝統文化講演会」の、平成30年度第3回目(今年度は全部で10回シリーズ)の「加賀百万石の漆芸の歴史 ・ お茶のお話」と題した講演会は7月21日(土)、岡 能久 氏( 株式会社 能作 代表取締役会長 )を講師にお招きし、多数の方の参加のもと、盛大に開催されました。
株式会社 能作は、創業200有余年の、うるし・漆器の製造販売を手がけてこられた 大老舗です。 本日の講師を務められた岡 能久さんは、その「能作」の七代目にあたる方です。 現在は同社の代表取締役 会長さんを務められています。
ネットで得た知識ですが、岡さんは、東京で大学生活を送られ、卒業後、京都に ある日本一の漆器店に就職され、東京支店配属となり、そこで業績を上げられ、その後、 金沢のお父様から呼び出しがかかり、漆器の店を任せられ、今日の「能作」を築き上げられた、 とあります。
いわば東京、京都、金沢の三都の文化を吸収されたわけです。 このことが、「京蒔絵」、「江戸蒔絵」、「加賀蒔絵」を客観的に評価する際の 審美眼にもつながったのでしょうね。
金沢に戻られてからは、社業の傍ら、漆産業・金沢漆器や加賀百万石の伝統文化、 茶道や能楽の振興に努められ、また金沢の中心街のまちづくりにも腐心されておられます。
本日の講演は、冒頭 ㈱能作さん制作にかかるビデオ「金沢漆器」を映写されて、皆を 金沢漆器の世界にぐいと引き込んでから始められました。
「京蒔絵」、「江戸蒔絵」、「加賀蒔絵」の特色、それぞれの違い、また この石川にあっては 輪島、山中、金沢が漆器産地ですが、これらの間の製法の違い、特色、を詳らかに 説明して頂きました。 沈金と蒔絵の違いや、各分野における様々な「名工」たちのお話もされました。 とくに、金沢の蒔絵のゴージャスさ、品のよさを力説されました。
また、石川在住の人間国宝8人中4人は漆芸の方である、とのことを誇らしげに語られました。
時おりしも、文化審議会が20日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に 沈金の山岸一男氏(輪島市河井町)ら3人を認定するよう、林芳正文部科学相に答申した との喜ばしいニュースがあったばかりです、とも語られました。
漆産業に携わる人々の生活基盤の安定、当産業の発展、ひいては工芸王国 金沢、石川の 文化的発展を希求する(岡さんの)心情溢れる講演となりました。
金沢の漆器、蒔絵がよりいっそう身近なものになった講演でした。
次回は、9月15日(土)「 加賀百万石と前田家 ~ 前田家三代と加賀八家」(講師:観光ボランティアガイドまいどさん 中田 廉子(やすこ)さん )です。
中田さんは、様々な場所で、歴史・文学関連の講義・講演をされておられます。
わかりやすい、明快な講演が きっと皆様の心の奥底に届くことでしょう。
乞うご期待 !