2016年10月16日
歴史と伝統文化講演会 ― 日本最古の印判店
尾張町商店街「歴史と伝統文化講演会」の今年度第5回目(今年度は全部で10回シリーズ)の「日本最古の印判店 ~ 前田利家の御用印判師としての役割と伝承 ~ 」と題した講演会は10月15日(土)、細字 佐平 氏(細字印判店12代店主)を講師にお招きし、多数の方の参加のもと、ここ尾張町老舗交流館にて開催致しました。
細字家における印判師としての初代(当家としては7代目となる)は、尾張荒子の生まれで前田利家公と同郷であり、天正16年に加賀藩の御用印判師として召抱えられ、尾張町で日本最古の印判店を開業されました。
その細字印判店は、連綿とその卓越した家業を継承され、今日の12代店主殿に至っているわけです。その方が今日の講師の(12代目)細字佐平さんです。
この印判師としての初代の方は、細字(当時ささじ と読んだ)の姓を織田信長から賜ったことは有名な話です。(織田信長が、その技量の優秀さゆえに「細字」姓を与えたのは3名のみ。その3名のうち、現在も印判師としての生業を続けているのは、この尾張町の細字家だけなのです。)
細字さんは、印章の変遷・歴史を語られ、印鑑制度の歴史・現在抱える問題点までをも語られました。
また豊富な資料に基づき、印章の製作過程、細字家当主としての心構えなどをも微に入り細をうがって説明頂きました。
まさに伝統の正統性を受け継ぐ(芸術家の境地に達しているもと言うべき)職人像というものに接しられた本日の講演は、たいへん実り多きものでした。
次回は、11月19日(土)「武士と加賀毛針 ~ 440年の歴史と技術の原点を知ろう ~ 」(講師:目細八郎兵衛商店 会長 目細 伸一 氏)です。
以下は、細字さんのお持ちいただいた資料に基づく、説明の様子です。
「藩札」「印章の印影」「印章の下絵」等々、とても貴重な歴史的資料ばかりで、細字家のなした偉業がうかがい知れます。