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2021年5月6日

「鳥獣人物戯画(複製)」絵巻展

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京都、高山寺に伝わる紙本墨画の、4巻からなる絵巻物である「鳥獣人物戯画」(「鳥獣戯画」ともいう)。
国宝である。
今はその高山寺にはこれらの複製がそなわるのみで、原画は東京国立博物館と京都国立博物館に
寄託保管されている。(東京国立博物館には甲・丙巻、京都国立博物館には乙・丁巻。)
 
「日本最古の漫画」とも称される「鳥獣人物戯画」ではあるが宗教的意味合いが
含まれている可能性もあるとして「漫画」性を否定する見解が主流となっている。
誰が何のために描いたのか、確定的にはわかっていない。
 
そんな絵巻物4巻(複製)の展示です。
全部合計すると44メートルを超えます(1巻あたり10メートル超)。
よって当館の展示ケースでは拡げて全体をご覧いただくことはできません。、
予めご了承ください。
 
謎多きこれらの絵巻物を通して、これらを描いた古の人たちに思いを馳せてみませんか。
 
 
展示期間は、令和3年5月7日(金) ~ 7月7日(水)まで。
 
 
以下は日本大百科全書より。
 
<鳥獣人物戯画>
 
絵巻。四巻。京都・高山寺(こうざんじ)蔵。国宝。12世紀中期~13世紀中期の制作とされ、
擬人化された動物の諸態や、人間の遊びに興ずるさまを描き集めた戯画絵巻。「鳥獣戯画」ともよばれる。
甲巻は猿、兎(うさぎ)、蛙(かえる)などが人間をまねて遊ぶ模様、乙巻は馬、牛、鶏、獅子(しし)、
水犀(みずさい)、象、それに麒麟(きりん)、竜など空想的なものを含めた各種動物の生態、
丙巻は僧侶(そうりょ)や俗人が勝負事に興ずるありさまと、猿、兎、蛙などが遊び戯れるさま、
丁巻はやはり僧俗の遊び興ずるさまが、それぞれ描かれる。各巻とも詞書(ことばがき)を欠き、
絵に説かれる内容、意味が明らかでなく、種々の解釈がなされるが定説をみない。
筆者は鳥羽僧正(とばそうじょう)覚猷(かくゆう)(1053―1140)と伝称されるが確証はなく、
また四巻はそれぞれ制作時期と筆を異にしている。甲巻はもっとも優れ、時期は乙巻とともに
12世紀中ごろまでさかのぼるものと思われるが、丙・丁巻は鎌倉期の制作とみてよい。
絵はいずれも墨一色の描線を主体とした白描(はくびょう)画で、動物や人物、草木などを
闊達(かったつ)な筆で巧みに描出している。
とくに甲巻は濃淡、肥痩(ひそう)、強弱の変化をつけた抑揚豊かな描線の筆技が絶妙で、
日本の白描画の白眉(はくび)といえる。乙巻もやはり暢達(ちょうたつ)な筆で甲巻に近い様式をもつが、
筆致に多少の違いが見受けられる。丙巻は描線が繊細でやや闊達さを欠き、さらに丁巻は粗い筆致で、
13世紀なかばごろに描き加えられたものと思われる。
いずれにせよ、これら四巻は平安末から鎌倉前期にかけての優れた画僧、あるいは寺院関係の絵師によって
描かれたものと思われ、密教図像の作画などで習得された、当時の高度な描線の筆技を知ることができる。

 
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