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2017年7月16日

歴史と伝統文化講演会 ー 詩人 中原中也と金沢

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今年度で第4回目の実施となる尾張町商店街「歴史と伝統文化講演会」の、平成29年度第3回目(今年度は全部で7回シリーズ)の「 詩人 中原中也と金沢 」と題した講演会は7月15日(土)、薮田 由梨 氏(徳田秋聲記念館・学芸員)を講師にお招きし、猛暑に中にもかかわらず多数の方の参加を頂き、ここ尾張町老舗交流館にて開催致しました。

 

「尾張町かわら版」での講演会、企画等についてのブログは いつも 基本的にはなるべく客観的な報告者調で著してきました。否、これからも基本的にはそうであるべき、と 筆者(当館 係員)は考えております。

が、今回だけはそのようなスタンスを取りえないことお許しください。 とにかく薮田先生の講義の素晴らしさに いたく感動したため、 心が動きすぎて どうも客観性をもっての報告にはなりえない、ということなのです。

 

何と素晴らしい一時間半だったことでしょう。

 

かくも短く経過した一時間半を私(筆者)は、いまだかつて知りません。 それほど濃厚で、濃密な1時間半でした。聴いていてとても心地よく 次からつぎへと、私たち聴衆に訴えかける内容の、とても興趣に富んだ講義でした。

 

新緑の森の中 樹々が新鮮な酸素を光合成の過程で放つがごとく、 この狭い交流館の中を、先生の新鮮な講義が響き渡りました。 さらさら流れる、山間いの清流のごとき、淀みない、若やいだ講義が 当館の中を満たしました。

 

先生は、略年譜を用いて、中原中也の世界を私たちの眼前に拡げて見せました。 中原中也の、特異な詩人形成への道程を説明されました。

 

カテゴリー別に、中也の「詩」を朗読・引用され、私たちを中也の世界への入り口はおろか (一般生活圏から遊離した)中也の詩の世界の深部へと、(短い時間ながらも)私たちを 連れて行って下さいました。

 

幼少期、金沢・野町の「神明宮」で見たサーカスをモチーフとした、詩集「山羊の歌」の中の あの有名な「サーカス」、の説明のところでは、中也の繊細な、詩創作における技法を こと細かに述べていただきました。

 

中原中也の、詩作において臨むありかた ・・・ 「名辞」以前 ・・・ 直感したものを いかに正確に言葉に置き換えればよいか、というのが、中原中也の、詩作において 多大にもエネルギーを費やしたところなのでしょうか ・・・ 私(筆者)にはそう 感じ取られました。

 

多感な青年期、中原中也の「詩」にふれて、熱病的に 中也の詩を愛読した人もいらっしゃることでしょう。 これは、講演後、お聞きしたことですが、先生も、高校時代に、中也の詩にいたく魅せられた、とお話されてました。

 

先生は、「中原中也」が好きで、どうしても中原中也記念館で働きたくて、 金沢大学を卒えられた後、中原中也生誕地である山口県の 山口大学大学院に進まれ、その後 中原中也記念館・学芸員として ご活躍なさいました。

 

中原中也を語っていただくには、最適な方だったわけです。

 

先生の、中原中也にそそがれる眼差しは、まるで「母」のようでもあり 「姉」のようでもあり、はたまた「恋人」のようでもあり、 中也を語る先生の言葉の端々に、寛容の、深い愛情を見てとったのは 私だけだったでしょうか。

 

講義中、先生の今のご専門の、「 徳田秋声 」についてふれられる際には 「 秋声は 」とおっしゃられ、一方 中原中也を語られるときは、すべからく 「 中也さんは・・・ 」と 呼ばれていました。

 

講演が終わった後、心の中が 何か暖かいものと、清々しいものとで満たされ、 そして、文学の「 愉しみ 」が大いに喚起されたのでした。

 

先生のお力です !!!

 

 

次回は、9月16日(土)「 江戸時代の近江町市場と尾張町 」(講師:金沢歴活 代表 安藤 竜 氏)です。

新進気鋭の歴史研究家である安藤さんには、私(筆者)からすれば、あの「武士の家計簿」を著した歴史学者 「磯田 道史」さんのイメージが重なります。

きっと斬新で、興味深い講演が展開されることでしょう。

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