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2018年6月17日

歴史と伝統文化講演会 ー 近江町の不思議Ⅲ

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今年度で第5回目の実施となる尾張町商店街「歴史と伝統文化講演会」の、平成30年度第2回目(今年度は全部で10回シリーズ)の「近江町の不思議Ⅲ」と題した講演会は6月16日(土)、石田 順一 氏( 金沢中央信用組合 常勤監事 )を講師にお招きし、たいへん多数の方の参加のもと、盛大に開催されました。

 

上近江町にあります金沢中央信用組合 常勤監事の石田順一さんの、本講演会ご登壇は、先の、徳田秋声記念館・学芸員の薮田先生同様 3回目となります。

過去の2回における近江町にまつわる不思議な話、市場の変遷、近江町に対する金沢市民の支持・愛着の高まり行く過程、等々の講演が、近江町というものを様々な角度から解明してくれたことでした。

 

さて、そういうわけでこの講演も回を重ねて3回目。

 

石田さんの近江町シリーズが、今回のⅢで終了するのか それとも次のⅣをご準備されているのか分かりませんが、なんとなく 今回のⅢでひとまずの区切りのような感の講演でした。

このⅢを近江町シリーズの集大成となすがごとく講演は進んだのです。

 

前回の講演で提起された、謎として残された部分のうちの判明したことの説明から 入り、「近江町市場の中にある金沢市指定史跡」(西内惣構跡)、近江町市場の 「アーケード」構築の経緯、苦労話、三八豪雪時、横安江町商店街のアーケードは倒壊したが、近江町の場合、開閉式 なるがゆえに難をまぬがれたエピソード、「共栄会 記録綴」から垣間見える 昔の近江町の様子、表情を面白く語って頂きました。

さらに昭和41年、魚問屋10社が統合して西念の金沢市中央卸売市場が構築され近江町市場が大きく変遷したこと、大口水産の設立者である「荒井 知行」さんの、その伝説をもとにした偉業、を語って頂きました。

 

近江町市場の歴史面、地理面、人物史面、設備面、市場としての機能面、 その中で働く人々の様子、他方の、客である金沢市民の様子、等々さまざまな 局面から近江町という存在を、丹念に調べあげた資料、当時を知る人たちへのインタビュー、 などの豊富なデータをもとにして解明されました。

その結果を石田さんは我々聴衆に惜しげもなく披露されたのでした。

 

今回で石田さんの近江町シリーズは一旦終焉するかの感があります。 この3回シリーズは、氏の旺盛な好奇心と、苦難に面してもめげない忍耐強さ、 たゆまぬ調査、研究心のたまものであったと拝察いたします。

 

市民に心から親しまれ、観光客に金沢の魅力を発信し続けている近江町は、いまそこに “ぽっと” 存在しているわけではありません。

幾多の歴史を重ね、風雪に耐え、その時代時代の人たちの、かけがえのない努力・尽力で 今があるわけなのです。 そんなことを石田さんは熱弁をもって我々に示してくれました。 3回を通して我々に一番伝わったのは、彼の持つ「近江町に対する深い愛情」だったのではないでしょうか。

 

「西内惣構」の話のところでの、「・・・敵が高い土居を見上げて『・・・どいね・・』、堀があって『・・・ほり見たことか・・』 、アーケードを設ける計画の当初、何か参考になるものはないかと「何かないけ」、富山の総曲輪商店街を参考例として出すときの 「・・・こんなのが『あっけど・・』・・・」というくだり、など石田さん一流の “だじゃれ” をまじえての話術は、我々の心になごみとなって響いたことでした。

「共栄会 記録綴」のなかに(昭和29年頃の話ですが)、1日(青果の休日)、8日(鮮魚の休日)、露天商が市場に 入り込んでいかがわしいものを売っているのを自治協会が取り締まるわけですが、近江町でもそういった露天商の 「啖呵売」が聞けたときがあったかもしれない、というくだりのところで石田さん、興に乗って一部ですが一席吟じました・・・ 「・・・いいかねお客さん。角は一流デパート、赤木屋 黒木屋 白木屋さんで、紅白粉(べにおしろい)つけたお姐ちゃんから、 ください頂戴で頂きますと、五千が六千、七千、八千、一万円はする品物だが今日はそれだけくださいとは言わない!・・・」 と、映画「男はつらいよ」の寅さん(渥美 清)の啖呵売を。

会場の一部から一陣の風のごとく拍手が巻き起こりました。

この、お客さんを楽しませたい、という心持も石田さんの真骨頂のひとつなのでした。

 

 

次回は、7月21日(土)「 加賀百万石の漆芸の歴史 お茶のお話」(講師:株式会社 能作 代表取締役会長 岡 能久(よしひさ)さん )です。

漆・漆器の老舗 「能作」の、岡 能久さんの講演です。

きっと含蓄に富んだお話が展開されることでしょう。

楽しみですね。

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